化学物質過敏症の発症


 2年目の冬、灯油ストーブをつけてすぐに肺がシクシク痛みだした。

 化学物質過敏症の発症である。

 電磁波過敏症の時と違って心の準備ができていたので、

「やっぱり来ちゃったか…」と,ちょっとがっかりした程度だった。

 

 不思議なのだが前日まで大丈夫だったラーメンがいきなり食べられなくなる。

 口の中がしびれて、おかしな感覚になる。そこをさらに食べ続けてしまうと、口内炎になってしまう。

 

 電磁波過敏症にしろ化学物質過敏症にしろ、発症直前までなんともない。

 

 ただ、あとになって振り返って考えてみると、初期症状と言えるかどうか、思い当たることはいくつかあった。

 例えば私は昔からコピーをたくさんとるのか苦手だった。

 父の事務所でコピー機を借りてたくさんコピーを取ることが何度かあったけれど、今のコピー機と違って昔のコピー機は速度がとても遅かった。何百枚もコピーするのに、ときには何十分もコピー機に張り付いていなければならなかった。

 そういうときには必ず肺がなんとなく、じんわり痛んだ。

 

 もう一つ。

 私は子供のころから体が弱く体力がなくて、疲れやすかったけれど、大学を卒業したころだったか、友人とディズニーランドに遊びに行った。

 私にしてはかなり無理をして限界まで頑張って、1日中遊んで、家にふらふら帰ってきて、そこまでは良かったけれど、なんとその後、数日力が入らず、まともに歩けなかった。

 そのときは単純に体力がないせいだと思っていたけれど、鎌倉に引っ越して、過敏症を発症した後、友人と周辺のハイキングコースに出かけたことがある。せっかく遊びに来てくれたので頑張って出かけたが、正直に言えば翌日以降の自分の体調が不安だった。

 けれど翌日、疲労というか筋肉痛は残っていたけれど気持ちの良い疲れで、むしろ体調がいいくらいだった。

 それでようやく気がついた。ディズニーランドの後の異常な疲労は、単純に体を動かした疲れではなく、電磁波を大量に浴びただるさだったのだろう。

 

 つまり、はっきりと電磁波過敏症を発症する以前から私は電磁波や電波に弱い体質だったのだと思う。